・話せる
・走れる
・トイレもできる
気づけば、できることがぐんと増えている3歳。
「もう赤ちゃんじゃない」
そう思った頃から、なぜか荒れることが増えていませんか?
✔ できるのに泣く
✔ さっきまで機嫌がよかったのに突然爆発
✔ 急に甘えが強くなる
✔ 保育園では頑張れているのに家で崩れる
「どうして?前はこんなにひどくなかったのに」
「私の接し方が悪いのかな」
そんな不安がよぎる方も多いはずです。
でもそれは、成長が止まったからではありません。
むしろ逆です。
3歳は、できることが一気に増える時期。
そして同時に、心がいちばん揺れやすい時期でもあります。
もしかすると今の不安定さは、
「伸びているからこそ起きている揺れ」かもしれません。
次に、なぜ3歳は急に荒れやすくなるのか。
その理由を、発達の視点から整理していきます。
3歳が急に荒れるのはなぜ?
体は成長、心はまだ2歳の延長線
3歳になると、こんな変化が見られます。
- 会話が成立する
- ルールを理解できる
- 順番も分かる
- トイレもできる
だからこそ、大人はこう思いやすくなります。
「もう分かっているよね?」
「さっき説明したよね?」
でも、ここに“発達のズレ”があります。
■ 3歳の発達のリアル
| できること(見える成長) | まだ難しいこと(見えにくい未熟さ) |
|---|---|
| 言葉で説明できる | 感情をコントロールする |
| ルールを理解する | 長く我慢する |
| 順番を知っている | 気持ちを切り替える |
| ダメな理由が分かる | その場で止まる |
3歳は「理解」は進んでいます。
でも「制御」はまだ未熟です。
■ なぜコントロールできないの?
理由は、脳の発達段階にあります。
- 前頭前野はまだ発達途中
- 理性は芽生え始めた段階
- 感情のブレーキ機能が弱い
つまり、
分かっている
↓
でも止められない
↓
感情が爆発する
この流れが起きやすいのです。
■ 3歳に増える「分かるけどできない」
2歳は「分からないからイヤ」。
3歳は「分かっているのにできない」。
この違いが、親をいちばん戸惑わせます。
例えば:
- 順番は理解しているのに横入りする
- トイレできるのに失敗する
- 叩いたらダメと分かっているのに手が出る
これは後退ではなく、葛藤の増加です。
■ だから荒れる
3歳は今、
- 自分でやりたい
- でも失敗は怖い
- できると思われている
- でも本当はまだ不安
という矛盾の中にいます。
この内側の揺れが、
- 癇癪
- 甘えの増加
- 家での爆発
として現れるのです。
3歳の荒れは、わがままではありません。
「理性が育ち始めた証拠」でもあるのです。
“できる子扱い”がプレッシャーになる理由
3歳になると、周囲の見方が変わります。
- 「もうお兄ちゃんだから」
- 「それくらいできるよね」
- 「さっきはできたよね?」
悪気はなくても、“できる前提”で関わる場面が増えていきます。
でも3歳の心の中では、こんなことが起きています。
■ 期待値が上がるとどうなる?
| 周囲の変化 | 子どもの内側で起きていること |
|---|---|
| できて当たり前になる | 失敗できなくなる |
| 褒められる基準が上がる | 緊張が続く |
| 小さなミスを指摘される | 自信が揺らぐ |
「できる」ことが増えた分だけ、
“できなかったとき”が目立つようになります。
■ 3歳の頭の中
3歳は、こんなふうに感じています。
- できないとがっかりされるかも
- 失敗したら怒られるかも
- ちゃんとやらなきゃ
つまり、
安心よりも
評価を意識し始める
という状態になりやすいのです。
■ 失敗=怒られる、と結びつきやすい
大人は軽く注意しているつもりでも、
- 「だから言ったでしょ」
- 「どうしてできないの?」
- 「さっきはできたよね?」
こうした言葉は、
失敗 = 否定された
という記憶として残りやすい。
すると子どもはどうなるか。
■ 緊張が続く → 家で爆発
保育園では頑張る。
外ではちゃんとする。
でも家に帰ると荒れる。
これは、
外=評価の場
家=安心の場
になっているからです。
ずっと張りつめていた気持ちが、
安心できる場所で一気にほどける。
それが、
- 急な癇癪
- 強い甘え
- 理由のない涙
として現れます。
3歳の荒れは、甘えすぎでもわがままでもありません。
「できる」と思われている子ほど、
実は内側でいちばん揺れていることがあります。
次は、よくある3歳の荒れパターンを整理していきます。
よくある3歳の荒れパターン
「うちの子だけ?」と思いやすい3歳の荒れ。
でも実は、多くの家庭で似たような揺れが起きています。
ここでは、特に多いパターンを整理してみます。
① 保育園ではいい子、家で荒れる
外では頑張れるのに、家で崩れる。
よくある声:
- 先生には「しっかりしていますね」と言われる
- 集団ではトラブルが少ない
- でも帰宅後に爆発
これは、
外=評価される場所
家=安心できる場所
という使い分けができている証拠でもあります。
家で荒れるのは、「甘えられる場所」と分かっているから。
② トイレできるのに失敗する
一度できたのに、また失敗が増える。
- 成功と失敗を行き来する
- 甘えて「やって」と言う
- 急に拒否する
これは後退ではなく、揺れ戻し。
新しく身につけたスキルは、
安定するまで“波”があります。
③ 急に赤ちゃん返りする
- 抱っこを強く求める
- 赤ちゃん言葉になる
- 自分でできるのに「やって」と言う
これは「できなくなった」のではなく、
できるようになったからこそ
安心確認をしている状態。
自立と依存を行き来しているのです。
④ 甘えが強くなる
3歳は、
- 自分でやりたい
- でも不安
- 認めてほしい
という感情が同時に動きます。
その結果、
- ベタベタする
- 何度も確認する
- すぐ泣く
という行動につながります。
⑤ 癇癪が2歳より激しい
「2歳よりひどくなった気がする」
それも珍しくありません。
理由は、
2歳:分からないから泣く
3歳:分かっているのにできなくて泣く
葛藤が増えている分、爆発も強くなります。
共通していること
これらはすべて、
- 理性が育ち始めている
- 自立が進んでいる
- でも心の安定はまだ未完成
という“成長の途中”で起きやすい揺れです。
荒れは問題行動ではなく、
発達の移行期に見られるサイン。
次は、そんな時期に親ができる具体的な関わり方を整理していきます。
親ができる3つのこと
3歳の荒れを「なくす」ことはできません。
でも、揺れを小さくする関わり方はあります。
大切なのは、特別なテクニックよりも“見方”を少し変えること。
ここからは、今日からできる3つの関わりを整理します。
①「もう3歳」を手放す
まず手放したいのは、この言葉。
「もう3歳でしょ」
この“もう”が、知らないうちに期待を上げています。
少しだけ言い換えてみてください。
- 「もう3歳」 → 「まだ3歳」
- 「できるはず」 → 「練習中」
- 「さっきできた」 → 「今日は揺れてる日」
■ 視点を変えるチェック表
| 今までの見方 | これからの見方 |
|---|---|
| できて当たり前 | できたらラッキー |
| 失敗は後退 | 失敗は波 |
| さっきできた | 昨日と今日は別 |
3歳は“安定期”ではありません。
“伸び始めの時期”です。
昨日できても、今日は崩れる。
それが普通。
完璧を求めないだけで、親の表情はやわらぎます。
そしてその安心は、子どもに伝わります。
② スキンシップを減らさない
できることが増えると、つい減りがちなのがスキンシップ。
でも、心が揺れる時期ほど“触れる安心”は大切です。
■ 今日できる小さな関わり
- ハイタッチ
- 抱きしめる
- 目を合わせて話す
- 頭をなでる
- 寝る前にトントンする
長時間でなくて大丈夫。
ポイントは、
評価の前に、安心。
叱るより先に、触れる。
説明より先に、目を合わせる。
スキンシップは、感情の土台を安定させる働きがあります。
荒れを止める魔法ではありませんが、
“爆発しにくい心”を育てていきます。
③ 失敗前提で見守る
3歳は失敗の連続期。
だからこそ、関わり方を少し変えます。
■ 失敗=学習中
- こぼした → 手のコントロール練習中
- 横入りした → 衝動ブレーキ練習中
- 癇癪 → 感情処理練習中
「まだできない」ではなく
「今まさに育っている途中」と見る。
■ 声かけを変えるだけで違う
×「なんでできないの?」
○「悔しかったね」
○「やろうとしてたね」
叱るより実況。
- 「自分でやろうとしたんだね」
- 「待とうとしたけど難しかったね」
行動の結果よりも、過程を見る。
■ 評価を変える
| これまで | これから |
|---|---|
| できたかどうか | やろうとしたか |
| 失敗したか | 挑戦したか |
3歳は、成功体験よりも
「やってみていい」という安心感が大事な時期です。
3歳の荒れをなくすことはできません。
でも、
- 期待を少し下げる
- 触れる時間を増やす
- 失敗を前提にする
この3つで、揺れは確実に小さくなります。
次は、「伸びる時期ほど不安定になる理由」をもう少し深く整理していきます。
伸びる時期ほど不安定な理由
「どうしてこんなに揺れるの?」
そう感じるのは、それだけ変化が大きい時期だからです。
3歳は、発達の中でも“伸び幅”が大きいタイミング。
伸びるときほど、バランスは一時的に崩れます。
ここでは、その理由を整理します。
① 脳の成長スパート期
3歳前後は、脳のネットワークが急速に広がる時期です。
特に発達しているのは、
- 言語理解
- 記憶
- 想像力
- 他者理解の芽生え
一方で、
- 感情のブレーキ機能
- 衝動のコントロール
- 長時間の我慢
はまだ未熟。
■ 成長のアンバランス
| 急成長している力 | まだ未熟な力 |
|---|---|
| 理解する力 | 抑える力 |
| 想像する力 | 切り替える力 |
| 共感の芽 | 衝動制御 |
アクセルは強くなっているのに、
ブレーキはまだ弱い。
だからこそ、不安定さが目立ちます。
② 自己主張の芽生え
3歳は「自分」という存在がはっきりしてくる時期。
- 自分で決めたい
- 自分でやりたい
- 違う意見を持ちたい
これは反抗ではなく、主体性の芽。
でも同時に、
- うまくできない
- 思い通りにいかない
- 大人に止められる
そのたびに強い葛藤が生まれます。
「自分でやりたい」と「助けてほしい」が同時にある。
その矛盾が、荒れにつながるのです。
③ 自立と依存の揺れ
3歳は、行ったり来たりします。
- 抱っこ → 「自分で歩く!」
- 「やって」 → 「触らないで!」
- 強気 → 急に涙
これは不安定ではなく、
自立の練習中。
■ 今起きているのはこれ
依存 ←→ 自立
安心 ←→ 挑戦
甘え ←→ 反抗
この“揺れ幅”が大きいほど、伸びています。
これは「問題」ではなく「移行期」
荒れは、性格の問題でも育て方の失敗でもありません。
それは、
赤ちゃんから子どもへ移る
心の移行期。
歩き始めのときも、よく転びました。
言葉を覚え始めたときも、たくさん言い間違えました。
心も同じです。
揺れているのは、
その力を使い始めているから。
次は、「どんな場合に専門家に相談すればいいのか」を整理します。
こんなときは専門家に相談を
ここまでお伝えしてきたように、3歳の荒れの多くは「成長の途中」に起きる揺れです。
ただし、ごく一部ですが、専門家に相談したほうがよいケースもあります。
大切なのは、不安になりすぎないこと。
そして「念のため聞いてみようかな」という軽い気持ちで動いてもいい、ということです。
① 極端な睡眠障害が続く
例えば、
- 毎晩ほとんど眠れない状態が続く
- 夜中に何度も激しく泣き叫ぶ
- 日中の活動に支障が出るほど眠れていない
睡眠は、心の安定と深く関わります。
一時的な夜泣きや寝ぐずりはよくありますが、
長期間続き、生活全体に影響が出ている場合は、小児科などに相談してみましょう。
② 自傷が続く
- 頭を強く打ちつける
- 自分を強く噛む
- 壁や床に繰り返しぶつかる
一時的に強い感情で起きることはあります。
ですが、
- 頻度が高い
- 強さが増している
- 止めても止まらない
こうした場合は、専門機関に相談することで、安心できる対応策が見つかることがあります。
③ 集団生活が著しく困難
- 園でほとんど活動に参加できない
- 毎日強いトラブルが続いている
- 先生から頻繁に心配を伝えられている
3歳はまだ発達差が大きい時期です。
「少し落ち着きがない」「よく泣く」程度なら珍しくありません。
でも、
生活全体に強い困難が出ている場合は、
早めに相談することでサポートが受けやすくなります。
相談は“診断のため”だけではない
専門家に相談する=問題がある、ではありません。
- 親の不安を軽くするため
- 関わり方のヒントをもらうため
- 今の状態を客観的に確認するため
そのくらいの気持ちで大丈夫です。
多くの場合は、
「この時期ならよくあることですよ」
と言われて安心するケースがほとんどです。
ひとりで抱え込まなくていい。
それもまた、子どもを守る大切な選択です。
最後に、今回の内容をまとめます。
まとめ
3歳は、
できるようになった年齢ではなく
「できることが増え始めた年齢」です。
話せる。
走れる。
トイレもできる。
その姿だけを見ると、もう小さな子どもではないように感じます。
でも心の中では、
- 分かるけどできない
- やりたいけどうまくいかない
- 自立したいけど甘えたい
そんな葛藤が、毎日のように起きています。
■ この記事のポイント
- 3歳は理解が進む一方で、感情のコントロールはまだ未熟
- 「できる子扱い」は無意識のプレッシャーになることがある
- 荒れや甘えは、成長の途中で起きやすい揺れ
- 親ができるのは
- 「もう3歳」を手放すこと
- スキンシップを減らさないこと
- 失敗前提で見守ること
荒れているとき、
親はつい「どうにかしなきゃ」と焦ります。
でも本当は、
伸びているから揺れる。
揺れているから育っている。
3歳は、まっすぐ右肩上がりで成長する時期ではありません。
波を打ちながら、少しずつ進んでいきます。
今日うまくいかなくても大丈夫。
揺れている今も、ちゃんと育っています。


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