「先生、これやりたい!」
子どもたちは、毎日のようにワクワクした目で僕に話しかけてきます。そのたびに、大人としてどう返すか――それが子どもの成長に大きく影響することを、僕は保育の現場で何度も実感してきました。
長年、保育士・幼稚園教諭として子どもたちと向き合う中で、僕もつい「それはダメだよ」「やめとこう」と言ってしまうことがありました。でも、「本当にダメなのか?」と自分に問い直し、子どもの思いをできる限り受け止めることで、子どもたちが自信を持ち、主体的に行動する姿をたくさん見てきました。
今回は、「ダメ!」を減らすことで子どもがどのように変わるのか、そして僕自身が経験したエピソードを交えながら、子どもの成長を促す関わり方についてお話しします。
1. 「やっちゃダメ!」と言いがちな場面とは?
僕自身も、つい「ダメ!」と言ってしまうことがありました。特に以下のような場面では、子どもを止めたくなる気持ちが強くなります。
1-1. 危ないから
- 高いところに登ろうとする
- ハサミや包丁を使いたがる
- 道路を走ろうとする
昔、ある子が「先生、あそこに登ってみたい!」と言ってきたことがありました。確かに危険が伴う高さ。でも「ダメ!」と言う前に「どうしたら安全にできるかな?」と一緒に考えました。その結果、子どもたちは安全なルートを探し、交代で登る約束をして、最後には「できた!」という自信に満ちた顔を見せてくれました。
1-2. 汚れるから・面倒だから
- 泥遊びで服が汚れる
- ご飯を手で食べたがる
- 水たまりに入りたがる
僕自身も「洗濯が大変だから」「後片付けが面倒だから」と考えてしまうことがあります。でも、ある日、泥遊びを「やりたい!」と言った子に、「じゃあ、着替えを用意しておこうか!」とOKを出してみました。すると、その子は全身泥だらけになりながら、最高に楽しそうに遊び、最後には「先生、すっごく楽しかった!」と満面の笑みを見せてくれました。
1-3. 大人の都合で
- 予定にないことを突然やりたがる
- 部屋を散らかす遊びをしたがる
- 「あと5分!」と言ってもやめない
スケジュール通りに進めたい気持ちは分かります。でも、子どもにとっては「今やりたい!」が大切な瞬間なんですよね。僕も「今はできないよ」と言いがちでしたが、「じゃあ、この後ならできるよ」と少し工夫するだけで、子どもたちが納得してくれることが増えました。
2. 「ダメ!」を減らすことで育つ3つの力
2-1. 自信を持って行動できる
「ダメ!」ばかり言われると、「やっても無駄かな」と思うようになり、挑戦する気持ちがなくなってしまいます。
✅ 実例:「お絵かきが好きな子が、壁に落書きしたがる」
→ 以前、壁に描きたがる子がいました。「壁はダメだけど、大きな紙ならいいよ」と言うと、その子は思いきり描けることが嬉しくて、大作を完成させました。子どもにとって、「やりたい!」を叶えることは大きな自信につながるんです。
2-2. 自分で考える力がつく
「ダメ!」と言わず、「どうすればできるかな?」と聞くだけで、子どもは自分なりに考え始めます。
✅ 実例:「包丁を使いたがる子」
→ あるとき、5歳の子が「包丁で野菜を切りたい!」と言いました。普通なら「危ないからダメ」と言いたくなりますが、子ども用包丁を用意して、「一緒にやろう」と言ってみました。その子は慎重に包丁を扱い、「できた!」と嬉しそうに報告してくれました。
3. 「ダメ!」を減らすための言葉かけの工夫
3-1. 「やってもいいけど、こうしよう!」
✅ NG例:「泥遊びしちゃダメ!」
✅ OK例:「泥遊びいいね!でも、おうちに入る前に着替えようね」
3-2. 「どうしたらできると思う?」と聞く
✅ NG例:「危ないから登っちゃダメ!」
✅ OK例:「ここに登りたいんだね。どうしたら安全にできるかな?」
3-3. 「後で」「他の方法で」を提案する
✅ NG例:「今はダメ!」
✅ OK例:「今はお風呂前だからできないけど、明日の朝にしようか?」
4. 「やっちゃダメ!」を減らしたことで変わった子どもたちの話
4-1. 泥遊びをやめさせられていた子が、思いきり遊べるようになった話
「汚れるからダメ!」といつも止められていた子。でも「終わったら着替えようね」とOKを出すと、思いきり遊び、その後は自分で着替えられるようになりました。
4-2. 高いところに登るのを禁止されていた子が、安全にチャレンジできるようになった話
「危ないからダメ!」と禁止されていた子が、安全なルールを決めることで、正しく挑戦できるようになった。
5. まとめ:「ダメ!」を減らして、子どもの可能性を広げよう!
- 「ダメ!」を言いすぎると、子どもは自信をなくし、挑戦する意欲が下がる。
- 代わりに「どうしたらできるか?」を一緒に考えることで、子どもの自信・思考力・創造性が育つ。
- ちょっとした声かけの工夫で、子どもの成長のチャンスを増やすことができる。
僕自身も、幼稚園教諭として「ダメ!」を減らす努力を続けています。子どもの「やりたい!」を大切にし、一緒に考えながら成長を見守っていきたいですね。
「ダメ!」の代わりに、「どうしたらできるかな?」と考える習慣をつけてみませんか?
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