子どもたちが心を込めて描いた絵や作った作品。それを見たとき、親として、保育者としてどのように声をかけていますか?
「すごいね!」「上手だね!」とほめることはよくありますが、そのほめ方が子どもにとってどのような影響を与えるかを考えたことはありますか?
ほめ方は、子どもの自己肯定感や創造力、やる気を大きく左右します。
しかし、無意識のうちに「逆効果」となるほめ方をしてしまうことも少なくありません。
本記事では、ついやってしまいがちなNG行動を10個具体例を交えて解説し、子どもが「もっとやってみたい!」と思えるようなほめ方のコツもご紹介します。
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【なぜほめ方が重要なのか】
ほめ方が子どもの自己肯定感に与える影響
子どもは、大人からの言葉や態度を通して自分の価値を感じます。
適切なほめ方は、「自分は大切な存在なんだ」と子どもの心に安心感を与え、自己肯定感を育みます。自己肯定感が高い子どもは、新しいことに挑戦したり失敗を乗り越えたりする力を持つようになります。
NG行動が引き起こすリスクとは
一方で、不適切なほめ方や反応は、子どもの心に負の影響を与えることがあります。たとえば、やる気を削いだり、他人との比較を気にしすぎるようになったり、自己評価が歪む原因になることも。親や保育者として、正しいほめ方を意識することが大切です。
【子どもの作品をほめる時のNG行動10選】

NG行動1:具体性のない「すごいね!」だけのほめ方
例:「すごいね!」「いいね!」だけで終わる。
→ なぜ「すごい」のかを伝えないと、子どもは何を評価されているのかわからず、ほめられた実感が薄れます。
改善策:「この青色、海みたいできれいだね!」と具体的なポイントを伝えましょう。
NG行動2:他の子どもと比較してほめる
例:「○○ちゃんより上手だね!」
→ 比較されると、他人と競争することでしか自分の価値を見いだせなくなる可能性があります。
改善策:「前より細かい部分まで描けるようになったね」と過去の自分と比べて成長をほめると良いでしょう。
NG行動3:結果だけをほめる
例:「上手に描けたね!」
→ 結果だけを評価すると、失敗を恐れて挑戦しなくなる可能性があります。
改善策:「こんなに時間をかけて丁寧に描いたんだね」と努力や過程をほめましょう。
NG行動4:過剰な持ち上げ
例:「天才だね!」「世界一の絵だよ!」
→ 過剰なほめ方は、子どもが現実感を失ったり、プレッシャーを感じたりする原因になります。
改善策:「この部分、すごく工夫してるね」と自然で誠実なほめ方を心がけましょう。
NG行動5:「直した方がいい」とアドバイスばかりする
例:「ここはもう少しこうしたら?」
→ アドバイスが多すぎると、子どもは「自分の作品はダメなんだ」と感じることがあります。
改善策:「ここ、面白いアイデアだね!次はどうする?」と肯定から始めると良いです。
NG行動6:「またこのテーマなの?」と否定的な反応をする
例:「また同じ絵描いてるの?」
→ 子どもの興味や好奇心を否定すると、自発性が失われます。
改善策:「○○が好きなんだね!今回はどんな工夫をしたの?」と興味を示しましょう。子どもの好きを認めることが大切です。
NG行動7:無視する、流し見する
例:「ふーん、いいね」だけで終わる。
→ 子どもは、大人にちゃんと見てもらいたいと思っています。
改善策:「この部分、どうやって描いたの?」と関心を示して質問すると良いです。
NG行動8:「ここはダメだね」と否定する
例:「線が曲がってるよ」「色が違うね」
→ 否定的な言葉は、子どもの自信を奪うことがあります。
改善策:「この線、力強いね」とまず良い点を探しましょう。
NG行動9:ほめることを忘れる
例:特に反応しない。
→ 何も言われないと、子どもは「関心を持たれていない」と感じます。
改善策:「見せてくれてありがとう!」と感謝を伝えるだけでも子どもは嬉しいものです。
NG行動10:忙しいから後でと言って放置する
例:「後で見るね」とそのままにする。
→ その瞬間に反応しないと、子どもの喜びが半減します。
改善策:短い時間でも「今すぐ見せてくれて嬉しいよ!」とその場で対応しましょう。
【どうすればいい?ほめ方のコツ】

1. 結果よりも「過程」をほめる
なぜ重要なのか?
結果だけをほめると、子どもは「成功しなければ価値がない」と感じてしまうことがあります。一方、過程をほめると、努力や挑戦そのものに価値を見出し、自己成長につながります。
具体例
- 子どもが絵を描いたとき、結果としての「上手だね!」だけでなく、次のように過程をほめましょう:
- 「この部分、何度も描き直してたんだね。あきらめずに頑張ったね!」
- 「青い色をこんなにたくさん使ったんだね。どうしてそうしたの?」
- 工作を完成させたとき:
- 「こんなにたくさんの材料を工夫して使ったんだね。考えるのが楽しそうだったね。」
ポイント
過程を観察して、その努力や試行錯誤を具体的に言葉にすることが大切です。
2. 子どもが話す感想をしっかり聞く
なぜ重要なのか?
作品を見た親や保育者の評価ばかりを伝えると、子どもの主体性が失われることがあります。自分の思いを表現することで、自己肯定感が高まります。
具体例
- 「この絵、どんなことを考えながら描いたの?」
- 「作るときに一番楽しかったことは何だった?」
- 「ここに赤い色を使ったの、何か理由があるのかな?」
これらの質問を投げかけると、子どもは自分の作品に込めた思いやアイデアを話してくれます。
ポイント
相槌や頷きで「ちゃんと聞いているよ」という態度を示しましょう。「へぇ、そうなんだ!」と驚いたり感心したりする反応があると、子どもはさらに話したくなります。
3. 子どもの個性を具体的に言葉にする
なぜ重要なのか?
具体的なほめ言葉は、子どもの自分に対する理解を深め、他の子どもと比較しないで済む効果があります。「〇〇らしさ」が認められると、安心して自分らしさを発揮できます。
具体例
- 「色の選び方が独特だね。〇〇ちゃんらしい、元気な色だね。」
- 「この形、ちょっとユニークだね。他の誰にも思いつかない発想かも!」
ポイント
他の子どもや一般的な基準と比較せず、その子ども独自の良さを具体的に伝えるよう意識しましょう。
4. ポジティブな評価に工夫を加える
なぜ重要なのか?
「すごい!」「上手だね!」だけでは、子どもにとって抽象的すぎて響きにくいことがあります。工夫を加えた言葉で伝えることで、ほめ言葉がより具体的で伝わりやすくなります。
具体例
- 「この部分、すごく細かく描いているね!細かいところまで注意を払う力があるんだね。」
- 「この色使い、まるで虹みたいだね!鮮やかで見ていると楽しい気分になるよ。」
ポイント
子どもの行動や作品の一部を具体的に取り上げ、そこにポジティブな評価を重ねます。「どう感じたか」を加えると、感性を伝えられる親子の対話になります。
5. 成長を感じさせる言葉を使う
なぜ重要なのか?
「前よりも上手になった」「こんな工夫をしてみたんだね」といった成長を指摘する言葉は、子どもの自信を育て、次の挑戦への意欲を高めます。
具体例
- 「前回は少し難しかった部分も、今回はしっかり描けているね!」
- 「前よりもハサミの使い方が上手になったね。練習したのかな?」
ポイント
過去の行動や作品と比較し、進歩した点を具体的に伝えます。ただし、他の子どもとの比較ではなく、子ども自身の過去と比べることが大切です。
6. 子どもの主体性を大切にする言葉を選ぶ
なぜ重要なのか?
親や保育者が「こうあるべき」という固定観念で評価を伝えると、子どもの自由な発想や創造性が失われる可能性があります。主体性を尊重することで、安心して自己表現ができる環境を作ります。
具体例
- 「こんな形を作るなんて、〇〇くんのアイデアが面白いね!」
- 「ここを工夫したんだね!どうしてそうしようと思ったの?」
ポイント
子どもの考えや感性に寄り添い、意図を尊重した声かけを心がけましょう。
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【まとめ】

子どもが描く絵や作る作品には、その子ならではの発想や努力、気持ちが込められています。それをどう受け止め、伝えるかは親や保育者次第です。
無意識のうちに取ってしまうNG行動は、子どもの自己肯定感ややる気を削ぐ可能性がありますが、適切なほめ方を心がけることで子どもの未来にポジティブな影響を与えることができます。
この記事で紹介したNG行動を避け、具体的なポイントを伝えたり、子どもの努力や感情に寄り添った声かけを実践してみましょう。
子どもは「自分を認めてくれる大人がいる」という安心感を得ることで、さらに成長し、新たな挑戦に意欲を持つようになります。
ぜひ、今日から実践してみてください。あなたの一言が、子どもの心を大きく育む第一歩になるかもしれません。
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