「帰るよ」の一言で泣き崩れる。
子育てをしていて、そんな場面に直面したことはありませんか?
とくに発達障害のある子どもたちにとって、遊びから食事、登園から帰宅など「次の行動に移る」ことは、思っている以上に大きなハードルです。
「わがままなのかな」「甘やかしすぎたのかも」と自分を責めてしまう保護者の方も少なくありません。
ですがそれは、子どもが“困っているサイン”かもしれません。
この記事では、発達障害の子が切り替えを苦手とする理由と、今日からできるサポート方法をお伝えします。
発達障害の子どもが“切り替え”に苦手さを感じる理由
発達障害のある子どもたちは、脳の「前頭前野」という部分の働きに特性があり、物事を柔軟に切り替えることが難しいといわれています。
例えば、
- 楽しいことを中断する
- 気持ちを整理して次に進む
- 突然の変化に対応する
こうしたことが苦手で、予想外のことが起こると不安や混乱を感じやすくなります。
「今この瞬間に集中している状態」から抜け出せず、「次に進む」という感覚そのものがつかみにくいのです。
無理に切り替えさせると、子どもはどうなる?
そんな状態の子に「早くして!」「もう帰るよ!」と急かしてしまうと、
- 泣く
- 叫ぶ
- 噛みつく・叩く
- 体を固めて動けなくなる
などの行動が見られることもあります。
これらは“わざと”ではなく、どうしていいか分からない結果の「困りごと」として表れているのです。
無理に切り替えをさせようとすることで、子どもの自己肯定感が下がったり、「怒られるからやめる」という恐怖の学習になってしまうことも。
結果的に、親子ともにストレスを抱えてしまいます。
今日からできる!「切り替えを助ける」5つの関わり方
1. 「あと○分だよ」と予告する
いきなり声をかけるのではなく、5分前・3分前など「予告タイム」を設けましょう。
子どもが心の準備をすることで、気持ちが落ち着きやすくなります。
2. 視覚的なタイマーやカードを使う
言葉だけでは伝わりにくい子には、タイマーやスケジュールカードが効果的です。
「時間が来たら終了」という視覚的ルールが理解しやすくなります。
3. 選択肢を与える
「今やめる?あと1回遊んでからにする?」のように、選ばせることで“自分で決めた”感覚を持てます。
自己決定は切り替えやすさにつながります。
4. 次の行動に“楽しみ”を添える
「おうち帰ったら好きなお菓子を食べよう」など、次に移る理由をポジティブに伝えることで前向きな気持ちに。
5. 毎日のルーティンに組み込む
同じ流れを繰り返すことで、変化に対する抵抗感が和らぎます。
「遊ぶ→タイマー→帰る」の一連を“習慣”にできるとスムーズです。
やってしまいがちなNG対応とその理由
NG例:
- 「早くして!」
- 「もう知らない!」
- 「怒るよ!」と脅す
- 無理やり連れていく
これらは一時的に効果があるように見えて、実は「変化=怖いもの」としてインプットされてしまいます。
結果として、次回以降の“切り替え”がさらに困難になるケースも。
おすすめの育児書・絵本
行動の切り替えや感情のコントロールに悩む保護者の方々に役立つ内容となっています。
📚 育児書のおすすめ
- 『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』
著者 : shizu
出版社:講談社
内容: 親からの適切な「言葉かけ」で、発達障害の子どもは大きく伸びる!家庭で楽しみながら行える、ABA(応用行動分析)を利用した「言葉かけ」の方法を具体的にわかりやすく紹介。
《毎日の生活のなかで、すぐできる!》
- 手を洗うときの言葉かけ
- 散歩のときの言葉かけ
- いっしょに料理をするときの言葉かけ
- 食事をしながらの言葉かけ
- 遊びながらの言葉かけ
- 『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に子育てするための本[0~3歳児編]』
著者:沢口 千寛、豆の時間
出版社:翔泳社
内容:発達障害のある親が0~3歳児の子育てをする際の具体的な工夫やアイデアを紹介して
📖 絵本のおすすめ
- 『ぼくはおこった』
作:ハーウィン・オラム
内容: 怒りの感情を抱えた子どもが、どのようにしてその感情を乗り越えていくかを描いた絵本です。
- 『ちょっとだけ』
作:瀧村有子
絵:鈴木永子
出版社:福音館書店
内容: 新しい家族が増えたことで、少しだけ我慢をすることになった子どもの気持ちを描いています。
3.『みんなのきもちがわかるかな? おもいやりの絵本』
著者:WILLこども知育研究所 / 編・著、すみもと ななみ 絵
出版社:金の星社
内容:日常生活の中での思いやりや感情の理解を促す絵本です。
これらの書籍や絵本は、発達障害の子どもたちの行動の切り替えや感情のコントロールに関する理解を深め、適切な対応方法を学ぶのに役立ちます。 ぜひご覧になってみてください。
まとめ:切り替えられない子どもは「困っている」だけ
子どもが行動を切り替えられないのは、意志の問題ではありません。
まだ“切り替える力”が発達の途中であるだけ。
それは、トレーニングで身についていく力でもあります。
「この子は困っているんだ」と受け止めることで、私たちの言葉や関わりも変わります。
今日紹介した5つのサポートをヒントに、親子で“うまくいく経験”を少しずつ重ねていきましょう。
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