ごっこあそびとは、自分や他者が、別の誰かや何かになりきったり、真似をしたり、何か別のものに見立てたりしながら、お話を展開していくあそびのことです。
つまり、子どもたちが同じイメージを持って、テーマに沿って役割を分担しながら楽しむあそびです。
ままごとやヒーローごっこも、その1つです。
ごっこあそびは、多くの能力が必要なあそびで、楽しみながら脳を鍛えられると言われています。
今回は、子どもにとって、なぜごっこあそびが必要なのか、どんなメリットがあるのかについて書いていきたいと思います。
【ごっこあそびで身につく力】
『愛情の体験を確認する』
お世話ごっこでは、子どもが人形のオムツを優しくとりかえたり、ご飯を食べさせたりする姿が見られます。
また、病気になった人形を看病する時には、子どもの仕草や言葉使いは、思いやりにあふれています。
子どもは何かを学ぶとき、自分でやってみて体得します。
ですから、身近な大人にしてもらったことを、今度は自分がやってみることで、自分の中に取り込んでいるのです。
これは、自己肯定感や心の安定にもつながります。
『観察力・記憶力・表現力』
例えば、ままごとをするなら、お母さんが料理をする姿をよく観察して覚えていないと再現できません。
恐竜ごっこでは、実際に見たこともない恐竜を想像して表現してあそびます。
言葉はもちろん、動作や仕草で表現する力が必要となってくるのです。
『想像力・創造力』
友だちとイメージを共有する力がないと一緒にあそびを進められません。
布一枚で魔法使いになったり、ヒーローになったり、現実の世界ではできないことを体験します。
本来はしゃべらないぬいぐるみをしゃべらせたり、動かしたり・・・想像する力や、ないものを作り出す力も身につきます。
そのようなファンタジーの世界が子どもには必要です。目に見えないものを信じる心は、愛情や思いやりなど、目には見えない大切なことを尊重する心につながると言われています。
【衣装があるとさらに盛り上がる!】
着るだけでごっこあそびが何倍も楽しく!なりたい自分になって遊べます。
『言語力』
お店屋さんごっこでは、店員さんそっくりな言葉使いになります。
普段使わないような言葉のやり取りも、ごっこあそびでは盛んにみられ、言葉を使ったコミュニケーションの体験となります。
自分の世界や、やりたいことを言葉で表現したり、友だちとやり取りする力がつきます。
『コミュニケーション力』
何をしてあそぶか、何役をするかなど、友だちと相談しないとあそびが進んでいきません。
また、赤ちゃんには赤ちゃんが分かるようにゆっくりと、目上の人にはていねいに、相手によって言葉を使い分ける社会的な言語力にもつながります。
相手の考えていることや気持ちを理解しようとする力がつき、他者への興味も広がっていきます。
『ルールを守る社会性』
役割とルールが発生します。
お医者さんごっこなら、医者・患者・看護師・薬剤師などいろいろな人がいて、それぞれがそれぞれらしく振舞わなくては、あそびが成り立ちません。
子どもたちはごっこあそびを通して、社会にはいろいろな役割の人がいて、たくさんの人の手によって生活が成り立っていることに気づきます。
自分も社会の一員であるという認識を持ち、ルールを守って進めるという社会性が必要となるのです。
『心の発達』
ごっこあそびを通じて他人と気持ちを共有することができるようになったり、自分と他人の心の動きに違いがあるということを、理解することができるようになるとも言われています。それはごっこあそびが、それぞれの立場で物事を考えたり、人や物の気持ちになって考えたりするからです。
これは人への思いやりという心の発達に繋がるとされています。
【年齢別ごっこあそびと発達の関係】
ごっこあそびは、ただの遊びにとどまらず、子どもの成長に欠かせない学びの場です。
ただし、子どもの年齢や発達段階によって遊び方や親の関わり方は変わります。
ここでは、年齢別のごっこあそびの特徴とその発達効果について詳しく見ていきましょう。
ごっこあそびの特徴
- 1~2歳: 模倣の時期
親しみやすい大人の行動を真似る時期です。 赤ちゃん人形を抱っこしたり、電話の受話器を持つなど、簡単な動作を楽しみます。この時期の遊びは、子どもの観察力や基本的な社会的スキルを育むことになります。 - 3~4歳: 想像力が広がる
簡単なストーリーや役割を作り、友達や家族と一緒に遊ぶことが多くなります。ストーリーを想像する力や数の概念が育まれます。 - 5~6歳:協力と複雑なシナリオの構築
複数人で役割分担をし、ストーリーを楽しんで遊んでいる時期です。 例えば「ヒーローごっこ」では、自己表現と正義感を高め、「お医者さんごっこ」では思いやりや問題解決力が発達します。
お店屋さんごっこの道具
レジやおもちゃのお金など。シンプルなものは想像力がどんどん膨らみます。お買い物ごっこで数の概念やお金の取引を学びながら、楽しく遊べます。
【親はどのような援助をすれば良いのか?】
『子どものペースに合わせて一緒に楽しむ』
1~3歳には一緒にあそびながらあそび方を教えていく。大人が少し言葉を添えてあげるとあそびが発展していきます。例えば子どもがハンドルを動かす仕草をしていたら、「運転手さんかな?発車しますか?」と言葉をかけてあげると乗り物ごっこが始まったりします。
3~4歳は、まだ自分中心のイメージなので、お医者さんごっこでお医者さんがたくさんいる状態です。親が患者になってあげるなど、時々お手伝いをしてあげる程度で大丈夫だと思います。
5~6歳は、ほとんど子ども同士であそべます。兄弟がいれば役割を決めたり、分担したりします。見守ってあげて下さい。
『コミュニケーションに応える』
言葉のやり取りの楽しさを伝えてあげてほしいですね。
子どもの言葉に共感を持って応えてあげて下さい。
コミュニケーションの中で言葉を身につけていきます。
『子どもの世界を壊さない』
子どもが考えていくと、おかしな設定も出てきますが、子どものイメージを壊さないように見守り、大人が勝手に設定を変えたり、お話を作らないようにしましょう。
『ごっこあそびの環境作り』
ごっこあそびを楽しむには、子どもが自由に想像力を発揮できる環境が大切です。家庭でどのように工夫すると良いか、具体的なアイデアを紹介します。
具体的な環境
- 自由に遊べるスペースを確保する
子どもが安心して動けるリビングや部屋を用意しましょう。床にクッションを敷くなど、安全面にも配慮します。
【プレイテント】
テントや秘密基地になる遊び道具。 子どもが自分の空間を作る楽しみを得られます。
リンク - シンプルな遊び道具を用意する
積み木、布、段ボールなど、特定の遊び方に限定されない道具が想像力を刺激します。例えば段ボールは、家や車、船などに変身します。 - 日常生活を取り入れる
お買い物ごっこや料理ごっこでは、実際の道具(安全なもの)を使ってリアルな体験ができます。さらに想像力が広がります。 - 必要なものを作れるように、紙や空き箱などを用意する
ままごとなら、使わなくなったお皿やおたまなどを、用意してあげるのもいいですね。わざわざ作らなくても、色のついた積み木を、食べ物に見立てて使うのもいいと思います。
【木製のままごとセット】
- 特徴:自然素材で安心して使える。切れる野菜果物は特に人気。しかもマグネットでくっついているので長持ちです!
- リアルなキッチン体験を楽しみながら、手先を使って想像力を育むことができます。
『日常や社会の中で、色々な物に触れる機会や体験を持てるようにしてあげる』
普段からいろいろな経験や体験をしておくと、ごっこあそびの中に取り入れ、あそびも広がっていくと思います。
【まとめ】
ごっこあそびを通して子どもたちは物を知り、行動を通して他者を知り、他者を知ることで自分自身を知ります。そして、役割を演じることで社会を知り、社会の一員としての自分を知ります。
ごっこあそびは、人が人として生きていくために必要な力を身につけていくためにも、子どもの発達にとって欠かせない大切なあそびです。
お子さんのごっこあそびにも、ちょっとだけ付き合ってあげて下さい。
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