子どもたち一人ひとりの「やりたい」「こうしたい」という思いに、どこまで寄り添えるか。
それは保育者として、保護者として、日々の悩みの種でもあり、大きなテーマでもあります。
僕は保育士として20年、そして今は幼稚園教諭として子どもたちと向き合う中で、【一人ひとりに寄り添う】ことを何より大切にしてきました。
この記事では、僕の保育観や、日々の実践を通して見えてきた“寄り添う保育”の可能性について、お伝えしたいと思います。
保育士としての20年、そして幼稚園教諭としての今
保育の出発点は「一人ひとりを大切に」
僕は保育士として20年、そして現在は幼稚園教諭として3年目を迎えています。
長年子どもたちと向き合ってきた中で、常に変わらず大切にしているのが【一人ひとりに寄り添う】という保育観です。
子どもは一人ひとり、感じ方も考え方も違います。
だからこそ、「この子は今どんな気持ちなんだろう」「何を伝えたいんだろう」と想像し、その思いを受け止めることから保育は始まると、僕は考えています。
環境が変わっても変わらなかった“軸”
保育園から幼稚園へと環境は変わりましたが、この【一人ひとりを大切にする】という軸は、変わることはありませんでした。
幼稚園では「集団生活」がより強く求められますが、それでも僕は、まず「個」が大切だと考えています。
僕の保育観【一人ひとりに寄り添う】とは
子どもの「思い」をまず満たす
「こんなことがしたい」「これは嫌だ」「これが気になる」…子どもたちは日々、たくさんの思いを抱えています。
僕は、その思いをできる限り満たしたいと考えています。
もちろん、すべてが叶うわけではありません。それでも、まずは「そう思ってるんだね」と受け止める。
そして「どうしたら叶えられるかな?」と一緒に考える。
そのプロセスこそが、子どもとの信頼関係を築く大切なステップなのです。
「集団より個」ではなく「個が満たされてこその集団」
「集団での行動が大事なんじゃないの?」と聞かれることもあります。
もちろん、集団生活の中で協調性や社会性を学ぶことは大切です。
でも、まず自分の思いを受け止めてもらった経験がないと、人の気持ちに気づくことは難しいのです。
だから僕は、「個を大切にすることは、集団を育てることにつながる」と考えています。
一人の思いを、クラスみんなの思いに

「どうしたらできると思う?」と問いかける力
一人ひとりに寄り添うと言っても、僕一人で全部を叶えるのは難しいこともあります。
そんなときこそ、クラスみんなの力を借ります。
例えば、「〇〇ちゃんがこうしたいって言ってるんだけど、どうしたらいいと思う?」と、みんなに投げかけるのです。
すると、「こうしてみたら?」「こういうやり方もあるよ」と、子どもたち自身が考え、工夫し始めます。
自分も大切にされる、みんなも大切にできる
このような関わり方を繰り返すことで、「自分のことをみんなが考えてくれた」という体験が子どもに安心感を与えます。
そして他の子どもたちも、「困ったときには、きっとみんなが考えてくれる」と思えるようになるのです。
こうして、自然と思いやりや助け合いの気持ちが育っていきます。
寄り添う保育がもたらすもの
子ども同士の信頼と安心
一人ひとりが大切にされる環境の中では、子どもたち同士の関係性にも変化が表れます。
自分が大切にされているという安心感があるからこそ、他人を思いやる余裕が生まれます。
「みんなちがって、みんないい」そんな感覚が、自然とクラスに根づいていきます。
保育者・保護者にできること

保育者や保護者にとって、「一人ひとりに寄り添う」ことは、決して簡単なことではありません。
でも、すべてを完璧にやる必要はないと思うのです。
「気づくこと」「受け止めること」そして「一緒に考えること」。
この3つを意識するだけで、子どもたちは確実に変わっていきます。
子どもの笑顔と安心のために、僕たち大人も一歩ずつ寄り添っていきましょう。
まとめ
「一人ひとりに寄り添う保育」は、決して特別なことではありません。
子どもたちの気持ちに耳を傾けること、そしてその思いをみんなで考えることの積み重ねです。
大人が子どもに寄り添う姿勢は、子どもたち自身の中にも「人を大切にする心」を育ててくれます。
これからも僕は、子どもたち一人ひとりの“今”を大切にしながら、クラスみんなで育ち合う保育を続けていきたいと思います。
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