5歳児は、小学校への準備期間とも重なっていて、「幼児」から「児童」への移行期であると言えます。
大きく変化する時期です。
その5歳児に、どのようなあそびをしていってあげたらいいのでしょうか?
そして、そのあそびがどのような効果をもたらすのか、見ていきたいと思います。
【5歳児の特徴】
5歳というと幼稚園や保育園では年長です。この頃になると、自分の気持ちをコントロールしたり、考えていることを合理的に説明できるようになってきます。
この時期は、家庭以外の社会にも慣れてきて、自己統制や役割分担、守るべきルールを学ぶことによって、あそびにも変化が現れてきます。
例えば、お母さんよりも友だちとあそぶことを好むようになったり、家庭以外の場所に率先して出かけたがるようになります。
このような成長は、うれしい反面、親としては離れていってしまうような感じがして、少し寂しい気もしますね。
でも、子どもがノビノビと外の世界に出ていけるのは、家族や家庭が安心していつでも戻って来られる場所としてしっかり根付いているからだと思いますよ。
あそびの特徴としては、
・集団あそびがより充実すること
・小学校入学を控えて知的好奇心がより大きくなってくること
・子ども同士でルールに沿ったゲームなどのあそびができるようになること
・体力、運動能力がますます充実してくること
などがあります。
【集団であそぶ楽しさ】
例えば、ままごとやブロック、砂あそびなども、1人あそびから集団あそびへと変化します。
ままごとなら、お母さんとお父さんなどの役割を自分たちで決めてからあそぶようになり、ブロックは分担して大きな作品を作ったり、砂あそびでも砂を運ぶ人と積む人など共同作業ができるようになります。
もし、ままごとで「お母さんになりたい子が2人いた時」どうしますか?
おそらく4歳くらいだと
・「お母さんは1人じゃないとダメ」というルールに縛られた考えしかできないことが多いです。
(これは4歳児がルールをきちんと守ろうとする発達の時期だからです。決して、4歳の子が悪いとか、このような行動がいけないと言っているわけではありません。)
でも5歳になると、
・「別に2人いてもいいよ」「違う家族のお母さんにすればいい」など相手のことも思いつつ、柔軟に考えられるようになってきます。
このようなやり取りの中でも、まだ大人の援助が必要な時ももちろんあります。
でも子どもは、友だちと目的を共有しながらあそべるようになり、そのことに充実感を感じられるまでに成長しているんです。
ごっこあそびの大切さについては、こちらに書いていますので、読んでみて下さい。
このような集団あそびで身につくことは、
・「コミュニケーションを通して意思疎通を図る力」
・「あそびの中でルールを決める力」
・「譲り合う気持ち」
・「人に対する思いやり」
・「社会性」
などのような力です。
そして集団あそびは、人間関係の調整や自分の感情・衝動のコントロールを学ぶ重要な機会です。
集団あそびに対する積極的な姿勢や、仲間に受け入れられて楽しくあそぶ経験が、子どもの心を育てることにつながると言われています。
【好奇心を育てる自然】
いろいろなものに興味を示す時期なので、外に出て自然に触れる機会をたくさん作ってあげるといいと思います。
草花や虫など・・・3歳の時と5歳は感じ方や見方が違います。
3歳の頃は葉っぱや虫の存在そのものをおもしろがっていたのが、5歳になると葉っぱの色や形、名前や特徴などにまで興味が広がります。
その時、親は子供の好奇心が育つ環境を整えてあげて下さい。
具体的には、
・図鑑
・地球儀
・虫眼鏡
・スケッチブック(ペンやクレヨン)
などが身近にあれば、虫や葉っぱの構造を観察したり、図鑑で名前を調べたり、絵に描いてみたり、押し花をしてみたりといったあそびに広がります。
僕の娘も、小さい時、散歩先でドングリを拾って持ち帰ったり、シロツメクサ(クローバー)で花冠を作ったりして、よくあそんでいました。持ち帰ったドングリは、プランターに埋めて育てました。今ではちょっとした小さな木に成長していますよ。もう5~6年前になりますかね?
娘は小さい時の経験からか、虫や星空などに興味を持っています。
庭のみかんの葉にアゲハ蝶が卵を産んだ時には、虫かごに入れて蝶になるまで育てていました。
4年生の時からダンゴムシを飼い、毎日観察日記をつけていました。ダンゴムシが亡くなるまでの2年4ヶ月間、1日も欠かすことなくダンゴムシの様子を記録に残していましたよ。
このような「体験を通した学び」は子どもの記憶にしっかり刻まれます。
そして未知なるものへの興味を育ててくれるのです。
自然に触れることって本当にいいなと感じました。
このようにして一緒に過ごした経験や記憶が、親子の信頼関係を育み、子どもがより大きな世界へ踏み出すための土台となるということだと思います。
【数、形、言葉】
5歳くらいになると、自分の名前を書こうとしたり、回りの文字や物の数にも興味を持ち始めます。
それは、子どもが自ら伸びようとしている時です。
特に数については、子どもに分かりやすく伝えるのは、なかなか難しいものです。
頭で覚えさせるよりも、あそびや日常の経験の中で身につけていく方がいいと思います。
あそびや文字についてはこちらにも書いています。もしよかったら読んでみて下さい。
例えば、食事の用意を手伝ってもらう時に、「人数分のお皿を出してね」とお願いすると、
まず、
・『家族の人数を数える』
ここで「数を数える」「(目の前に家族がいなければ)家族を思い浮かべる」「数えた数を記憶しておく」などの動作が入ってきます。
・『人数と同じ枚数のお皿を出す』
ここでは「数えた人数と照らし合わせる」「お皿を数える」ということをします。
さらに、「1つのお皿に唐揚げを3つずつのせてね」と頼めば、
・『唐揚げの数を数えて盛り付ける』
ここでは「数を数える」「それぞれのお皿に3つ盛り付ける」「あと何個か?」「足りない?」「多すぎる?」など、これだけでもたくさんのことを経験できると思います。
あとは、ボーリングあそびがオススメです。
10本のピンを倒して、「何本倒れたか」「何本残ったか」を数えます。
初めのうちは1本ずつ数えていきますが、慣れていったら、パッと見ただけで「6本倒れたから、残りは4本」と覚えてしまうくらいあそび込みましょう。
これは「10」の数が扱えるということになるので、小学校に行ってからの、「足し算・引き算の力の基礎」になります。
親子で勝負すれば、「どちらが多かったか」数の比較にもなります。
楽しみながら、数の勉強もできて、将来の役にも立ってしまうなんて、こんなにいいことはないですよね!
「楽しい」という気持ちが大切です。楽しくない・やらされていることは、いくらやっても身につきません。
ぜひ継続してやってみてほしいと思います。必ず力がつきますよ!
【スマホ・コンピューターとの付き合い方】
今はコンピューターやスマホは当たり前の時代ですね。
小学生でもスマホを持っているというご家庭も多いようで、正直驚いてしまいます。
特に幼児から児童期へと移行するこの時期は、コンピューターやスマホなどのゲームを欲しがる時期です。現代社会ではコンピューターやスマホは不可欠な物なので、否定はしません。
でも小さな子には、スマホのような2次元世界の受け身なあそびよりも、自分から関われて、実際に手で触れることのできるものとしての玩具(ボードゲームやトランプなど)であそんでほしいと思います。
【まとめ】
この年齢になると、勝負事での勝ち負けを認識できるようになります。
勝ち負けを経験して、悔しさやストレスを感じながらも、自分なりに気持ちを切り替えたりする力を身につけていきます。
楽しいあそびの条件の1つは勝ち負けがあること、ということも言われているそうです。
また、子ども時代にはある程度の喧嘩の体験も必要ですよね。喧嘩になった理由を考えたり、何が相手を怒らせてしまったのか、なぜ自分が悪いのか、ということをきちんと自分で考えて理解させることが大切です。
そして、そのような心のモヤモヤを取ってくれるのが、外あそびや体あそびです。気持ちを開放して、心のわだかまりを自然に取ってくれます。
※体を動かすことの大切さはこちらにも書いています。もしよかったら読んでみて下さい。↓↓↓
このようにあそびを通した様々な体験が、いろいろな人の価値観と出会い、自分以外の周りの人の気持ちを想像する力、思いやりの心を育てていくと言われています。
子どもの「知りたい・やりたい」という気持ちを応援し、見守ってあげて下さい。幼児期の豊かな経験が、子どもを自立した人間へと育ててくれることと思います。
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