~子どもの発想を大切にする保育の姿勢~
はじめに
幼稚園・保育園で20年以上働いてきた中で、僕が大切にしている保育観があります。
それは 「子どもがしたいと言ってきたら、とりあえず一回やってみる」 ということです。
「これは無理だろう」と大人が判断してしまう前に、まずは子どもと一緒に試してみる。
その過程で子ども自身が気づきを得たり、友だちと意見を交わしながら成長したりすることがあります。
今回は、発表会の劇の練習で実際にあったエピソードを紹介しながら、この考え方の大切さをお伝えしたいと思います。
子どもの「やってみたい」を尊重する大切さ

「1番最初に出たい!」劇の流れを変えたい子どもの声
年長クラスの2月、発表会の劇の練習も終盤に差し掛かっていました。
劇は3つの場面に分かれており、Jくんは3つ目の場面に登場する役でした。
ところが、Jくんが突然、
「出番が遅くて待つのが嫌だ。1番最初に出る順番を変えたい。それならやる。」
と言ったのです。
この時期に劇の流れを大きく変えるのはリスクがあります。
他の子どもたちが混乱する可能性もありますし、練習してきたものをまた調整し直すのは簡単ではありません。
正直、僕も「それは無理かな」と内心思いました。
「じゃあ今日は試してみよう!」
そんな時、クラスの1人の女の子 Sちゃんがこう言いました。
「じゃあ今日は、その場面を最初にしてやってみよう!」
さらに、彼女は続けてこう言ったのです。
「もしそれで無理だったら、元の順番でもいい?」
この言葉には驚きました。
「どうすればできるか」を考えた上で、「試してみてダメだったら元に戻す」という柔軟な提案をしたのです。
僕は「これはやってみる価値があるな」と思い、みんなで実際に順番を変えて劇をやってみることにしました。
試してみることで生まれる気づき
「やっぱり元のままがいい!」
順番を変えて劇をやってみた後、子どもたちに感想を聞いてみました。
すると、多くの子どもが 「やっぱり元のままがいい」 という意見を出しました。
最初に順番変更を提案した Jくんも、実際に自分の希望が受け入れられたことで納得し、元の流れに戻すことを受け入れました。
この経験を通して、子どもたちは 「試してみることで自分の考えが変わることもある」 ということを学びました。
大人の役割は「できる・できない」の判断ではなく、環境をつくること

子どもたちは、大人が「それは無理」と決めつけるよりも、自分たちで試して、考えて、納得することで成長していきます。
僕の役割は、「できる・できない」を判断することではなく、 「どうしたらできるかを一緒に考え、試せる環境をつくること」 なのだと改めて感じました。
そして、子どもたち自身も「自分たちで決めていいんだ」「意見を出し合えば解決策が見つかる」と実感できるようになります。

まとめ:子どもたちの可能性を信じる
今回の劇のエピソードを通じて、改めて 「子どもの発想を大切にすることの大切さ」 を実感しました。
大人が「無理だ」と思ってしまうことも、子どもたちは柔軟な発想で乗り越えていくことがあります。
これからも 「子どもがしたいと言ってきたら、とりあえず一回やってみる」 という姿勢を大切にしながら、子どもたちと向き合っていきたいと思います。
子どもたちの考える力、受け入れる力は、僕たち大人が思っている以上に大きいのかもしれませんね。






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